マンションで実家じまいをするには?費用や流れ、売却の基準までプロが解説

マンションの実家じまいは、戸建てとは異なり、管理費や修繕積立金といった維持費が継続してかかることや、管理規約による制約がある点が特徴です。
進め方を整理しないまま進行すると、思わぬ負担が生じたり、家族間で認識のずれが生まれたりすることもあります。
本記事では、マンションの実家じまいで確認しておきたいポイントや費用の目安、進め方、売却を考える際の基準までを分かりやすく解説します。
マンションならではの実家じまいの難しさ

マンションの実家じまいは、戸建てと比べて管理費や修繕積立金といった、マンション特有の固定費が発生する点が大きな特徴です。
分譲マンションでは、空室であっても管理費や修繕積立金の支払いが続き、状況によっては大規模修繕に伴う追加負担が生じることもあります。
さらに、売却や賃貸、リフォームを進める際には管理規約や管理組合のルールに従う必要があり、個人の判断だけで進められない場面も少なくありません。
費用面とルール面の制約が重なることで、判断を先延ばしにすると負担が増えやすい点が、マンションならではの実家じまいの難しさといえます。
マンションの実家じまいにかかる費用

マンションの実家じまいでは、片付け以外にも売却や維持費に関わる費用が発生します。事前に全体像を把握しておかないと、想定外の出費に戸惑うこともあります。
主に確認しておきたいのは、以下の3つです。
- 不用品や残置物の撤去にかかる費用
- 売却する際に発生する費用
- 空室期間中にかかる維持費
マンションの実家じまいでかかりやすい費用の目安を紹介します。
不用品・残置物撤去にかかる費用
不用品や残置物の処分費用は、自分で片づけるか、業者に任せるかによって大きく変わってきます。おおまかな目安は、以下のとおりです。
| 処分方法 | 費用 |
|---|---|
| 自分で片付け・処分をする場合 | 数千円~ ※自治体によって異なる |
| 不用品回収業者を利用する場合 | 3万~20万円 |
| 遺品整理業者を利用する場合 | 5万~50万円 |
さらに部屋の広さや荷物の量、業者によって異なります。詳しくは、以下の記事を参照ください。
>>実家じまいにかかる費用はいくら?節約のコツや税金の注意点をプロが解説
売却時に発生する費用
マンションなどの不動産を売却する際は、売却価格とは別にいくつかの費用が発生します。代表的なのが、不動産会社へ支払う仲介手数料です。
不動産の売却価格が400万円を超える場合は、上限として売却価格の3%+6万円に消費税を加えた額と定められています。あわせて、売買契約書には印紙税がかかり、契約金額に応じて数千円〜数万円程度となるのが一般的です。
事前に費用を把握しておくことで、売却後に手元に残る金額をイメージしやすくなります。
空室期間中の維持費
実家じまいの過程でマンションが空室になると、住んでいなくても維持費は発生します。
分譲マンションでは、管理費や修繕積立金として月2万〜3万円前後かかるケースが多く、加えて固定資産税として年10万〜30万円前後の負担が生じることもあります。
空室期間が長引くと、年間で30万〜60万円程度になることもあります。どのくらいの期間空室になるかを想定し、早めに方向性を決めることが重要です。
マンションの実家じまいの進め方

実家じまいは、段階を踏んで進めることが大切です。進め方が整理されていないと、家族間で考えに違いが生じ、後悔の残る実家じまいになってしまうこともあります。
基本的には、以下のステップに沿って進めると安心です。
- 名義・相続状況を確認する
- 家族・親族と話し合う
- 管理費・修繕積立金の支払い状況を確認する
- 家財・不用品の仕分け・処分をする
- 管理組合や管理規約による制限を確認する
- 売却・賃貸・保有を検討する
マンションの実家じまいを進める際の基本的な流れを解説します。
STEP① 名義・相続状況を確認する
マンションの実家じまいでは、名義や相続の状況を最初に確認しておく必要があります。所有者が誰なのかがはっきりしていないと、売却や賃貸といった次の手続きを進めることができません。
親名義のまま相続登記が済んでいない場合は、相続人全員の話し合いが必要になることもあります。相続関係が複雑だと、想像以上に時間がかかるケースもあります。
早めに登記内容を確認し、権利関係を整理しておくことで、その後の判断や手続きがスムーズになります。
STEP② 家族・親族と話し合う
実家じまいを進めるうえで、欠かせないのが家族や親族との話し合いです。マンションの扱い方は、相続や費用負担にも関わるため、考え方の違いが表面化しやすい部分でもあります。
誰が相続するのか、売却するのか、しばらく保有するのかといった点を早めに共有しておくことが重要です。方向性が定まらないまま作業を進めると、後から意見が食い違うこともあります。
初期段階で認識をそろえておくことで、実家じまいをスムーズに進めやすくなります。
STEP③ 管理費・修繕積立金の支払い状況を確認する
管理費や修繕積立金の支払い状況も確認しておきたい点です。これらは所有者が継続して負担する費用のため、未納があると売却や名義変更の場面で支障が出ることがあります。
また、今後予定されている大規模修繕によって、追加の負担が発生する可能性もあります。
管理会社や管理組合に問い合わせて、現在の支払い状況や今後の負担額を確認しておくことで、売却するのか、そのまま保有するのかといった実家じまいの判断がしやすくなるでしょう。
STEP④ 家財・不用品の仕分け・処分をする
実家じまいの方向性がある程度見えてきたら、家財や不用品の仕分けを進めます。
自分たちで処分できる物もあれば、量や内容によっては業者の力を借りたほうがよい場合もあります。思い出の品を残しながら進めたい場合は遺品整理業者、大型家具や家電の処分が中心であれば不用品回収業者が選ばれることが多いです。
近年は、片付けから相続、売却までまとめて相談できるワンストップ型の業者もあります。状況に合った方法を選ぶことが、負担を減らすポイントです。
実家じまいで利用できる業者の選び方については、以下の記事を参考にしてください。
STEP⑤ 管理組合や管理規約による制限を確認する
マンションの実家じまいでは、管理組合や管理規約の内容も確認が欠かせません。マンションは専有部分であっても、共同住宅としてのルールが定められています。
リフォームの内容や工事の進め方、賃貸の可否などが規約で制限されていることもあります。実家を売却するのか、活用するのかを考える前に、どのような制約があるのかを把握しておくことが大切です。
事前に確認しておくことで、計画の変更や行き違いを防ぐことができるでしょう。
STEP⑥ 売却・賃貸・保有を検討する
家の中が整理できたら、マンションを今後どうするかを具体的に検討します。
売却を選べば、管理費や税金などの維持費の負担はなくなります。賃貸に出す場合は、賃収入が見込める一方、管理や修繕の手間も考慮しなければなりません。
すぐに結論を出さず、一定期間保有する選択をするケースもあります。管理費や税金などの負担を踏まえたうえで、家族の状況に合った選択をすることが、後悔しない実家じまいにつながります。
手間をかけずに実家を売却したいなら
実家じまいの詳しい手順は、以下の記事も参考にしてください。
>>実家じまいの手順をプロが徹底解説|スケジュールや費用相場、トラブル事例も紹介
マンションの売却を考える際の基準

マンションの実家じまいでは、売却するかどうかを早めに検討しておくことが重要です。決断を先延ばしにすると、住んでいなくても管理費や修繕積立金の支払いは続いてしまいます。
売却を検討する際は、次のような点が一つの基準になります。
- 管理費や修繕積立金の負担が重く、保有を続けるのが難しい
- 築年数が浅く立地条件も良く、売却しやすい状況にある
- 今後住む予定や、賃貸として活用する見込みがない
一方で、将来的な利用を考えていたり、賃貸としての活用を検討していたりする場合は、必ずしも急いで売却する必要はありません。
使う予定があるかどうかと、維持の負担を考えることで、自分たちに合った実家じまいの形が見えてくるでしょう。
マンションを売却する際に抑えておきたいポイント

マンションを売却する際は、事前にポイントを押さえておくことで、余計な行き違いや負担を減らすことができます。
特に意識したいのは、次の点です。
- 売却前に残置物をどこまで片付けるか
- 仲介と買取の違い
- 売却までにかかる期間の目安
ここでは、マンション売却を進めるうえで押さえておきたいポイントを解説します。
売却前に残置物はどこまで片付けるか
マンションを売却する際は、家具や家電など生活感の強い物は撤去しておくと、内覧時の印象が良くなります。
ただし、すべてを完璧に片づける必要があるとは限りません。近年では、残置物の処分から売却までまとめて対応できる業者もあります。
売却方法や買主の意向によって対応は変わるため、不動産会社に相談しながら、無理のない範囲で整理を進めるとよいでしょう。
仲介と買取の違い
マンションの売却には、大きく分けて「仲介」と「買取」の2つの方法があります。
仲介は市場で買主を探す方法で、条件が合えば比較的高い価格で売れる可能性があります。一方、買取は不動産会社が直接購入するため、価格は抑えられる傾向があるものの、手続きがシンプルで早く進みやすい点が特徴です。
どちらが向いているかは、売却を急ぐか、価格を重視するかによって変わります。それぞれの特徴を理解したうえで選ぶことが重要です。
売却までにかかる期間の目安
マンションの売却は、不動産会社に相談してすぐに完了するものではありません。売却の相談から契約、引き渡しまでに数か月程度かかるケースも多く見られます。
条件や立地によっては、さらに時間がかかることもあります。また、残置物の整理や必要書類の準備に時間を要することも少なくありません。
あらかじめ売却までの流れと期間感を把握しておくことで、実家じまい全体の計画も立てやすくなります。
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相続人が複数いるマンションで起こりやすい問題と対処法

相続人が複数いる不動産では共通して起こりやすい問題ですが、マンションの場合は管理費や修繕積立金などの固定費があるため、判断の遅れがより大きな負担につながりやすい傾向があります。
相続人が複数いるマンションの実家じまいでは、話し合いが難航しやすく、結論が出ないまま時間だけが過ぎてしまうケースも少なくありません。
特に起こりやすいのは、次のような問題です。
- 売却して代金を分ける方法がまとまらない
- 意見が分かれて決断が先延ばしになる
- 専門家(司法書士・不動産会社)に相談するタイミングが遅れる
相続人が複数いる場合に生じやすい課題と、その対処法を解説します。
売却して代金を分ける方法がまとまらない
相続人が複数いるマンションでは、売却して代金を分ける「換価分割」が思うように進まないことがあります。
売却自体には賛成でも、価格や時期、手続きの進め方で意見が割れるケースが少なくありません。また、感情的な理由から売却に踏み切れない相続人がいることもあります。
その結果、結論が出ないまま時間だけが過ぎ、管理費や税金の負担が続いてしまうこともあります。
「換価分割」を選ぶ場合は、条件や手順を具体的に整理し、共通認識を持つことが大切です。
意見が分かれて決断が先延ばしになる
相続人が複数いると、マンションをどうするかで意見が分かれやすくなります。そのため、話し合いが思うように進まず、判断が先延ばしになってしまうこともあります。
売却したい人がいる一方で、保有や賃貸を考える人がいるなど、考え方がそろわないことも珍しくありません。費用をどう分担するか、今後の管理を誰が担うのかといった点も、話し合いが難しくなる要因です。
話し合いでは、感情的な部分だけでなく、維持費や管理の手間など現実的な点も踏まえて考えることが重要です。ポイントを整理して話を進めることで、意見をまとめやすくなります。
専門家(司法書士・不動産会社)に相談するタイミングが遅れる
相続人同士で話し合おうとするあまり、専門家への相談が後回しになるケースも多く見られます。しかし、名義や相続手続きが整理されていないと、売却や活用の選択肢が広がりません。
司法書士に相談すれば相続関係の整理が進み、不動産会社に相談することで具体的な売却や活用の見通しが立てやすくなります。
話し合いが行き詰まり、実家じまいが遅れるのを防ぐためにも、早い段階で専門家の意見を取り入れることが大切です。
まとめ

マンションの実家じまいでは、名義や相続状況の確認、管理費や修繕積立金などの費用把握、管理規約の確認が欠かせません。
判断を先延ばしにすると、空室でも維持費がかかり続けるため、早めに方向性を整理するのがおすすめです。売却・賃貸・保有のいずれを選ぶ場合でも、家族でよく話し合い決断することが大切です。
必要に応じて専門家の力を借りながら進めることで、後悔の少ない実家じまいにつながります。
手間をかけずに実家を売却したいなら

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